今年の確定拠出年金法改正施行に伴い、個人型確定拠出年金の加入者は順調に増加しています。

その一方、企業型確定拠出年金制度に加入していたがその企業を退職した人は、昨年までは、例えば転職先の企業に確定給付年金制度のみの場合や結婚して第3号被保険者になった場合は、個人型確定拠出年金には加入できませんでしたので、運用指図者しか選択肢はありませんでした。加えて、企業型確定拠出年金から個人型確定拠出年金へ資産を移換するためには、加入者が自ら手続きを行わなければなりませんが、移換手続きを行わずに約半年間放置していると、当該加入者の確定拠出年金の資産が国民年金基金連合会に自動的に移換されてしまい、自動移換者になります

運用指図者

資料:国民年金基金連合会

平成28年3月末における運用指図者約47万人の中には、企業型DCの加入者で転職又は結婚後も個人型確定拠出年金の加入者として継続を希望していても運用指図者しか選択できない方々が相当含まれていると思われます。

昨年までは、個人型DCの運用指図者しか選択できなかった理由は、まず1.企業年金制度(確定給付企業年金・厚生年金基金)対象者は、個人型DCの加入者となる資格がなかった事です。

従って、企業型DCの加入者が転職して、転職先企業が確定給付企業年金を提供していれば、個人型DCの加入者資格はなく、個人型DCの運用指図者しか選択肢はありませんでした。

次に、2.公務員及び第3号被保険者は個人型DCの加入資格はありませんでした。

従って、企業型DCの加入者が、転職して公務員になる場合や結婚して第3号被保険者になる場合は、個人型DCの加入者資格はなく、個人型DCの運用指図者しか選択肢はありませんでした。

個人型DCの運用指図者は、毎月手数料を払いながら今まで運用していた資産を運用する事になり、いわば塩漬けの状態に陥り運営管理手数料(年間3,000円~5,000円程度)を運用収益でカバーしない限り、資産額が徐々に目減りしていきます。

運用指図者約47万人の中には60歳以上の方や自ら選択している方も含まれていますが、ある意味、運用指図者は企業型DCにおけるポータビィリティーの不完全性の犠牲者でした。  

今回のDC改正法によりほぼ全員がiDeCoに加入出来る様になりましたので、今後運用指図者がどれだけ減少していくのか注目しています。

自動移換者

企業型確定拠出年金に個人別管理資産がある人が、その加入者の資格を喪失した場合、その資産を個人型または他の企業型の確定拠出年金に移換するか、脱退一時金の請求の手続を6カ月以内に行わないと、その資産は現金化され、国民年金基金連合会に自動的に移換されることになっていて、2016年3月末でその数は約57万人弱に上ります。

資料:国民年金基金連合会

自動移換者の資産は、国民年金基金連合会で預かることとなりますが、その場合には管理手数料(月間51円)が掛かるほか、以下のようなデメリットがあります。

1.全く運用ができないので、資産を増やすことができない。

2.老齢給付金の受給可能な年齢になっても、給付が受けられない(給付を受けるには個人型確定拠出年金に資産を移換することが必要です)

3.自動移換の期間は確定拠出年金の正式な加入期間とはみなされないため、受取開始の時期が遅くなる場合がある(60歳→最高65歳に)

なお、国民年金基金連合会への自動移換者が70歳に達したときは個人型年金加入者であったとみなして連合会が自動裁定し老齢給付金を支給する事になりました。

加えて、自動移換者対策として退職時の会社からの手続き情報の徹底化及び企業が退職者のDC資産をレコードキーピング担当会社に照会する事も可能にしました。

自動移換者の中には非常に少額のDC資産しか所有していなかった方々も含まれているとは思いますが、企業型DCの資産は受け取る権利のある退職金ですので、自動移換者数57万人はあまりにも多すぎますし年々増加しているのも問題です。

国民年金基金連合会もiDeCo新規加入キャンペーンだけでなく、もっと積極的に自動移換者への呼びかけを行って貰いたいと思います。国民年金基金連合会自動移換者問い合わせ先はこちら

心当たりのある方は、是非元勤務先か国民年金基金連合会に問い合わせされる事をお勧めします。

自分自身でまぼろしの退職金にしてはいけません。

また、今後は自動移換者の発生を抑制するための取組みが急務です。