来年からスタートするつみたてNISAの投資対象商品には公募株式投資信託に加えてETF(上場株式投資信託)も含まれていますが、ETFの要件が金融庁より以下の様に定められています。
資料:金融庁
ETFに関しては、販売会社が受け取る収益は販売時の売買手数料に限られているため、制度設計上、ノーロードとすることは困難であるとの配慮から、販売手数料には一定の上限(1.25%)が設けられました。なお、公募株式投資信託については販売手数料がゼロである投信に限定されています。
資料:金融庁
まず、今回の金融庁の決定に対して評価している点は、現在国内ETFについては大手証券会社ではるいせき投資として定額積立投資を取り扱っていますが、海外ETFを初めて定額積立投資の対象とした点です。
それでは、つみたてNISAにおいてそれぞれの指数に連動するETFなのかそれとも投資信託なのかを個人投資家が選択するポイントはまず全体のコストですので、コスト面(信託報酬+買付・売却手数料)から国内ETF続いて海外ETFについて検証したいと思います。(なお、今回の検証では株式関連の投資信託・ETFのみを取り扱っています。)
1.国内ETF
金融庁によりますと、国内ETFで要件を満たすのは10本くらいとの事です。
信託報酬:
資料:当事務所作成
買付・売却手数料:
現在NISA口座で適用されているネット証券(SBI証券・マネックス証券・楽天証券)の国内ETFの買付・売却手数料
最近インデックス投信の信託報酬はかなり低く設定されており、ETFの信託報酬との差もかなり縮小しています。やはり、つみたてNISAにおいて同じインデックスの投資信託と比較してコスト面でETFが優位に立ち個人投資家に選択される条件としては、最低ETF購入時の買付手数料をゼロにする事が必要であると思われます。(積立投資においては買付手数料率はイコール年率と同じになります)
2.海外ETF
まず、指定インデックスに対応し且つ資産残高1兆円以上の海外ETFを検証していきます。
経費率:
資料:当事務所作成
買付・売却手数料:
現在NISA口座で適用されているネット証券(SBI証券・マネックス証券・楽天証券)の海外ETFの買付・売却手数料
海外ETFは投資信託に比べて経費率はかなり低く設定されて競争力があり且つ投資信託では設定されていないインデックスに連動するETFもあり魅力的です。この競争力及び魅力を維持する為にも、国内ETF同様最低ETF購入時の買付手数料をゼロにする事が必要であると思われます。(積立投資においては買付手数料率はイコール年率と同じになります)
参考までに上記の海外ETF(VT,VWO,VOO,VTI)の過去のパフォーマンスを検証します。
資料:モーニングスター データ基準日:2017年6月30日
期間3年及び5年のシャープレシオにおいては、VOO及びVTI(米国株式)がVT(全世界株式)・VWO(新興国株式)を上回っています。なお、市場価格リターンは米ドルベースです。
3.その他の注意点:
A) つみたて投資におけるETFの買付のタイミング
買付価格の透明性を保つためには、ETFの買付のタイミングを予め設定する必要があります。
国内ETFのるいせき投資については大手証券会社及び米国個別株積み株(現在海外ETFについては定額積立投資を取り扱っている証券会社はありません)についてはOne Tap BUYが以下の様に買付のタイミングを設定しています。
資料:当事務所作成
B) 為替手数料
海外ETFを買付する際の為替手数料も重要なコスト・ファクターです。
ネット証券の為替手数料:マネックス証券・楽天証券・SBI証券:25銭
ただし、SBI証券の場合、住信SBIネット銀行でドルを購入(為替手数料:15銭)し、送金手数料なしでSBI証券に米ドル送金が可能です。
適用される為替レートについては、上記海外ETFの買付タイミングが決まっていれば透明性は保たれます。
さて、つみたてNISAの口座開設の受付は2017年10月開始と決まっています。(運用開始は2018年1月)今後、各販売会社によるつみたてNISAにおける取扱商品、特に海外ETF、についての案内を心待ちにしています。
なお、今回ETFに関しては下記のモーニングスター代表朝倉氏の著書が多変参考になりました。