2016年5月24日、確定拠出年金制度の改正等を柱とした改正DC法が、第190回通常国会において可決・成立しました。

この改正により、以前個人型確定拠出年金への加入が認められていなかった公務員・私立学校教職員、企業年金加入者(企業年金とは企業型確定拠出年金、確定給付年金及び厚生年金基金を指します)及び第3号被保険者である専業主婦の加入が認められ、全ての国の年金被保険者(第1号・第2号及び第3号被保険者)は基本的には2017年1月より個人型確定拠出年金に加入できる事になりました。

ただし、制限等も設けられていますので詳しく説明していきたいと思います。

1.個人型確定拠出年金拠出限度額(月額)

2.制限等

企業型DC加入者

今回、個人型DCへの加入は可能になりましたが、既にマッチング拠出*をしている場合は個人型DCの加入は認められません。加えて、規約変更して個人型DC加入を認める場合、企業型DCの拠出限度額が現在の年間66万円から24万円引き下げられます。

*マッチング拠出:企業型DCの加入者は一定の範囲内で事業主の掛金に上乗せ拠出が出来る制度で、個人型DCと同じく掛金は全額所得控除の対象になります。ただし、加入者の掛金は、会社掛金と同額まで、かつ合算で拠出限度額までとなっています。

およそ3割の企業がマッチング拠出を採用しています。

マッチングと個人型DCの比較

‚確定給付年金及び企業型DC加入者

個人型DCの拠出限度額は、確定給付年金ありと同額で月額1.2万円で、既にマッチング拠出をしている場合は個人型DCの加入は認められません。加えて、規約変更して個人型DC加入を認める場合、企業型DCの拠出限度額が現在の年間33万円から14.4万円引き下げられます。

3.その他の留意点

第3号被保険者

会社員等の妻である第3号被保険者は通常自身で所得税・地方税を負担していませんので、個人型DCにおける掛金全額は所得控除のメリットは受けれません。

NISAと個人型DCの比較

4.今回の改正で一番メリットを受ける加入者

特に制限のない国家・地方公務員・私立学校教職員及び確定給付年金のみありの会社員が挙げられます。その意味で拠出限度額が最低金額(月額1.2万円)になったと思われます。

ただし、確定給付年金のみを実施している企業でも退職給付債務の負担が大きく確定給付年金のみから全て又は一部企業型DCに移行する企業が増えています。その場合マッチング拠出を加えれば、その会社員は個人型DCには加入又は拠出出来なくなります。移行する際注意が必要です。

5.改正の意義

晴らしい税制優遇を提供する個人型確定拠出年金ですが、知名度は低く加入者率も低いレベルで推移しています。

2016年3月現在、加入者は以下の様になっています。

加入者数      対象者数       加入者率

第1号被保険者       7万人          1,742万人     0.4%

第2号被保険者       18.7万人      2,000万人      0.9%

しかしながら、今回の改正による対象者数の増加、マスコミによる報道、関連書籍の出版及び個人型確定拠出年金の管掌機関である国民年金基金連合会の個人型確定拠出年金の啓発・広報活動事業の追加(平成28年1月から)により知名度は今後高まり、加入者は増加すると期待されます。

一方、個人型確定拠出年金を取り扱う運営管理機関(証券、銀行、生損保、郵貯)の獲得競争は激化すると予想されますので、今後個人型確定拠出年金に加入される方は、運営管理機関の手数料・運用商品の種類と信託報酬を充分吟味して運営管理機関を選択される必要があります。

運営管理機関を選択して個人型確定拠出年金に加入された後、運営管理機関を変更する事は可能ですが手続きが非常に煩雑です。